ハイドアンドシーク


「えっと、はい、それだけです」

「身軽にも程があるだろ」

「それは、……」



荷造りする時間がほとんどなかったから。


口から出かかった言葉を押し戻す。

そんなわたしに構うことなく段ボールを床から拾い上げた東雲さんと、目が合った。



「つーかお前が持て」

「き、急に渡さないで……って、重!」


一箱に収まるようにぎゅうぎゅうに詰めたからだ。

東雲さんよくこんなの軽々と持ち上げたな。



……あ、それと、あと。


< 14 / 158 >

この作品をシェア

pagetop