ハイドアンドシーク
「あのぅ、エトーくん」
「んァ……」
「えっと、わた……ぼ、くでよかったらいつでも呼んでくれていいから。だからさっき言ってたやつのことも、また今度おしえて」
「か、鹿嶋ァ……ちなみに俺、えとうじゃなくて江藤な」
「ごめん」
エトーくん改め、江藤くんもようやく諦めがついたのか、それ以上引き止められることはなかった。
だから部屋を出る寸前。
思い出したように、ぽつりと呟かれたそれも。
どちらかといえば独り言のつもりだったんだろう。
「つか統理さんもずっと一人でいたっすよね」
そうなんだ。
でも、なんでここで東雲さんが出てくるんだろう。
東雲さんがゆっくりと振り返る。
「悪いな。俺もそろそろ人肌恋しいんだよ」
彼がなんでそんな返答をしたのかも、やっぱり理解が追いつかなくて。
というか。
その言葉のあまりの空々しさに、わたしは苦笑するしかなかった。