ハイドアンドシーク
────…………あっつい、
目を覚ますと、そこはもうアパートじゃなかった。
長年住んだアパートよりもずっと日が浅くて。
だけど、それよりもずっと安心する場所。
ぼんやりしたまま被っていた布団を足で蹴り落とす。
籠もっていた熱がすうっと抜けていくのを感じていると、どこからか声が降ってきた。
「さすが、行儀のぎの字もねぇ。それにしても腹くらいは隠したほうがいいんじゃねーの」
「…んん、わかって……、へ?」
「互いのためにもな」
……!!
ようやくはっきりとした意識。
あわてて起きあがると、少し離れた場所で東雲さんが本を閉じているところだった。
「おはよう。っつっても、もう夜だけど」
「え、と……ずっと部屋、いたの?」
「いたら悪いわけ?」
「わ、悪くない!悪くない……けど」
あれ、わたし、説明し忘れてたっけ。
今はヒートの真っ只中だってこと。
いや、そんなことは────
そのとき、ぐうぅぅぅとお腹が鳴った。
う……朝からずっとなにも食べてなかったから、