ハイドアンドシーク
「昔から?……でも、初対面って」
「間違ったことは言ってないよ。なにせ、面と向かって話したのはあのときが初めてだったからね」
そう前置きをして葛西くんは続ける。
「彼の家、この学校のすぐ近くだったんだよ。もう取り壊されちゃったけどね。ここらの人ならみんな知ってるよ、東雲の家の事情は」
たしかに、祖父母と一緒にこの辺りに住んでたって東雲さんも前に言ってた。
葛西くんの言う“家の事情”のなかにはきっと、いなくなったおばさんたちのことも含まれている。
でも、
「なんで葛西くんがそんなこと」
「察しが悪いなあ。僕の家もそう遠くないところにあるんだって。君も見たことあると思うよ。ほらあの、趣味の悪いピンクの屋根の家」
趣味の悪いピンク色の屋根の家?
ピンク色の屋根の家……はっ、
「もしかして西区六番通りにある、あの豪邸!?」