ハイドアンドシーク
だから。
たどり着いたその部屋に、物は少ないながらすでに誰かが生活している痕跡があったとき。
「え……、? っ、あ」
わたしはようやく、はっとした。
うそだ。
なんで気付かなかったんだろう。
「まって。こ、れってつまり、そういうこと?」
「は?」
「わたし東雲さんと一緒に住むの?」
そんなわけないだろ、って否定してほしかった。
なんでよりによってお前なんかと、って。
「なに、今ごろ気付いたわけ」
ぱちり、と。
暗かった部屋に明るさが取り戻される。
まっすぐにこちらを見つめる瞳と目が合う。
それらを意識した途端、ひゅっと喉が鳴った。