ハイドアンドシーク


先生、とひかえめに声をかける。


「寝れるときはちゃんと寝てくださいね」

「ありがとうな鹿嶋。お前らが赤点取らなきゃ今頃家でぐっすりだったけどな」

「次のテストは頑張ります……」

「つーか今更だけど、他の奴らはどこいった?」


わたしもはたと思い出す。



「そういえば他にも赤点取った人いましたよね」

「はあもう、ブッチはブッチだけにしろよ……」


そのブッチはそもそもテストをブッチしていた。

さすがである。



「ちょっと休憩延長させてくれ。もうすぐ昼だし、お前もどっかで食ってくるか何か買ってこい。20分になったら再開するぞ」

「じゃあちょっとコンビニでお昼買ってきますね」

「おー……コンビニ行くならついでにしじみ汁も買ってきてくれ……あとでお前の分も出すから……」


「え、いいんですか?すぐに買ってきまーす!」



先生の胃に穴があかないことを祈りつつ、わたしは教室をあとにした。


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