ハイドアンドシーク


「調べたからに決まってんだろ」


東雲さんは当たり前のように言った。



「お前がオメガだってわかって、ネットから文献から手当たり次第に漁ったわ」


部屋の隅にある本棚。

そこにはいつも小難しい本が並んでいた。


教科書よりも分厚い、オメガのわたしでさえ手に取るのを躊躇してしまうようなそれを。

思えば、東雲さんは時間があるときに読んでいた。


何冊も、何冊も。



「れん。お前だってとっくにわかってんだろ、この薬が自分に合ってないことは。突発的なヒートもずっと隠れて吐いてんのも、全部これの副作用だろうが」



なんで東雲さんがそんなに怒ってるの。

だってそれはわたしの問題で、

自分でどうにかしなきゃいけないことで、





「続けさせるかよこんなの」


「えっ……ちょっと!」


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