ハイドアンドシーク
錠剤の束をゴミ箱に向かって投げられる。
綺麗にスリーポイントシュートが決まったのを見て、わたしは「え、なっ、なにしてんの!?」と絶句した。
「それがないとわたし、誰かと番うしかなくなる!」
「じゃあ実家に帰れば」
「は、はぁ!?」
「運命の番と結ばれるわ薬も飲まなくて済むわ、いつかそいつのことも好きになってハッピーエンドじゃん」
「ぜんぜんハッピーじゃないそんなの!なら一生薬飲んでるほうがマシ!…っ、さっきも言ったけどわたしがずっと一緒にいたいと思えるのはっ、」
「だったら一緒にいたらいいだろ」
さっきまで散々、実家に帰れだとか、誰かと番えだとか言ってたくせに。
「聞いてりゃずっと一人で生きていく前提で話しやがって。……おい、鹿嶋恋」
今、まっすぐにわたしを見つめるその目は。
とっくに覚悟なんて決まっているようだった。
「お前の未来に俺はいないのかよ」