ハイドアンドシーク


「は、んなことで悩んでたのかよ。だったらもっと早く告えばよかった。あほらし」

「なっ、……っむぐ」


そんなことなんかじゃない。

東雲さんからすれば大したことじゃないかもしれないけど、わたしにとっては何よりも深刻な問題だ。


……って、

言い返そうとしたら、むぎゅっと鼻をつままれた。



「ほんっと腹立つ」


ちっとも、腹なんて立ってなそうな顔。

それよりもずっと複雑な感情がそのたった一言に込められている気がして、わたしは息を呑む。




「そんなんで諦めるほど、お前は、俺の中でどうでもいい存在じゃない」


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