ハイドアンドシーク
キス・ミー・クイック



「さて、ここで東雲さんに質問です」

「なに急に」



一夜明けて、翌日。

出先から帰ってきたわたしは早々、かしこまるようにベッドの上に正座した。

もちろん東雲さんはそれに習わない。

怪訝そうにしながら上着を脱いでいる。




「ヒートはどれくらいの期間続くでしょう?」

「…3日から1週間」

「その間、どうなるって?」

「繁殖活動のことしか考えられなくなる」



さすが東雲さん。

得た情報はすべて暗記しているのか、さらりと答えを(そら)んじる。


うんうんと頷いたわたしは本題に入ることにした。




「東雲さん、わたしの薬をゴミ箱に捨てたってことはつまりそういうことなんですけど、わかってますか?」

「当たり前だろ。責任はちゃんと取る」

「……わかりました。質問は以上ですご清聴ありがとうございました」



ゆるゆると頭を下げ、そのままフェードアウトでもできればよかったのに。


察しのいい東雲さんはまさか、と追撃してくる。



「昨日言ってた迷惑っつーのはそれのことか?」

「……」

「それに付き合わせんのを気にしてんの?」


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