ハイドアンドシーク
「あ、うん、ありがとう……。ん!?」
ちょっと待って、いまなんて言ったこの人。
わたしが混乱しているあいだに東雲さんはベッドに片膝をついた。
ぎし、とふたり分の重みを受けてベッドが軋む。
それとはまた別のベクトルでわたしの心臓もぎゅいっと軋んだような気がした。
「余裕あるときにしとけば、まあまあこんなもんかって覚悟もできるだろ」
「た、タイムタイム!ちょっとステイ!オチツコ!」
冗談だと思いたかった。
現にこの人の冗談は分かりにくいところがある。
で、わたしも真に受けて身を引いたのがまずかった。
後ろ手をついた瞬間、右手から全身にビリリッと痛みが駆け抜けて。
「ぴッ……い、ったぁぁぁぁ~~~~~!!」
あーこれいってるね、向こう2ヶ月は安静にしていてください。
さっき病院で言われたばかりのことが走馬灯のように頭をよぎりつつ。
自分でもびっくりするほどの絶叫が、誰もいない昼間の寮にこだました。