ハイドアンドシーク





──わたしも、東雲さんのことが好き



先日、とうとう東雲さんに想いを伝えた。

蓋をしていたその気持ちを認めるのは英語の補習よりも簡単で、さらりと口をついて出た。


それでも前に続く道の険しさがなくなったわけじゃない。

わたしは東雲さんと共に茨の道を進んでいくことを決めた。



で、目下の問題はそのあとだった。


アドレナリンが切れたのか、なんなのか。

東雲さんの背中にまわしていた手が、ずきんずきんと痛みを主張してくる。

それは今まで体験したことのないような痛みだった。


確認するのが怖いので、まず先に東雲さんに見てもらうことにした。




──ど、どう?なんか感覚、ないんだけど

──色がやばい。お前これ、絶対折れてる

──ッ、え゜……ぎゃっ、ほんとだ゛!!



さっきまで普通だったわたしの右手が、目も当てられないほどに腫れている。



それからはてんてこ舞いだった。


その日は日曜だったから病院はどこも空いていなくて、救急外来で診てくれるところも近くにない。

東雲さんが慣れた手つきでアイシングとテーピングをしてくれなければ、きっと次の日まで我慢できなかったと思う。


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