ハイドアンドシーク
ボビー・バーンズ










「あー……と、鹿嶋だったか?」



翌日の月曜日。

自分のクラスに向かっている途中、一緒にいた担任の先生がふと手元の名簿に目をやった。



「はい」

「そうそう、鹿嶋レン。ホストみたいな名前してんな」

「いやーはは、そうですかね」



さすがに愛想笑いがすぎたかもしれない。


だけど向こうは気にした様子もなく、「やべーんなこと言ってたらまた理事長に目ェつけられちまう」とかなんとかぼやいていた。

なかなかいい加減な先生だなぁ。




「お前さ、理事長の親戚なんだろ」



あ、それは知らされてるんだ。


わたしの性別や本名がちゃんと隠されていたことに内心ほっとしながら、はい、と返事する。



「やな奴だよな、あの銭ゲバデブ眼鏡」

「そう、ですかね。あんまり話したことはないので」

「ふうん……にしたって、なんでこんな中途半端な時期に来るかね。自慢じゃないけど、うちはわざわざ編入するほど価値のある学校でもねぇぞ」



いまは4月の下旬。そしてわたしは高校3年生。

たしかに時期外れではあると思う。


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