ハイドアンドシーク
「鹿嶋レンです。よろしくお願いします」
自己紹介をしながら控えめに見渡した教室。
たしかに不良っぽいひとが多かった。
けれど思っていたほど荒れている様子もない。
少なくともホームルーム中はヤジを飛ばされることもなく、かといって歓迎されることもなく。
わたしは無事(?)3-Aの仲間になることができた。
「じゃあ俺はもう行くけど、お前らあんまそいつ虐めてやるなよ」
ホームルームが終わると同時、さっさと退散した先生はやっぱりどこか窮屈そうな猫背だった。
まるで無理やりそうさせた、かのような。
「モッチーが気にかけるとか、お前やっぱタダもんじゃねぇな」
授業でつかう教科書やらノートやらを机の上に出していたとき、頭上からかけられたそんな一声。
ぱっと反射的に顔をあげる。
そこにいたのは昨日、ガーネットの部屋でも見かけた男だった。