ハイドアンドシーク





「東雲さんは?」

「知らね。あのひと放浪癖あんだよな」

「僕が来る前からそうなの?」

「あー?そりゃ……そういや、もうちょい姿は見せてくれてたかもしれん。SRがSSRになった感じ」


確定だ。

避けられている、という事実が重くのしかかる。



「いや統理さんは元からSSRだったわ。つーかソシャゲに例えていいような人じゃなかったわ」


ショックを受けたときってほんとに胸にグサッとくるんだな。

胸も喉も、この前からずっとヒリヒリしたままだった。



「おい鹿嶋このこと統理さんにチクんなよ。まじぶっ飛ばすからな。おい、おい鹿嶋テメーきいて」



わたし、ここに来てから東雲さんのこと怒らせてばかりだ。


謝りたかったけど学園内でその姿を見かけることはなかった。


寮の部屋にも、いるにはいる。

たぶん。

わたしがいなかったり寝てたりするタイミングに帰ってきてるんだと思う。





「……あ」


だからその日、部屋に東雲さんがいて思わず固まってしまった。


すぐに我に返って、おそるおそる後ろ手にドアをしめる。

こちらに背を向けているからか、わたしが入ってきたことには気づいていないようだった。



「あの、……ごめんなさい、東雲さん」


先手必勝を狙ったわけじゃないけど。

謝るなら今しかないと思った。


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