ハイドアンドシーク
「ほんっと何一つ被んないね。全部正反対」
「お前とは一生分かり合える気がしねーわ」
「ええー?そんな悲しいこと、……」
わたしが不自然に黙ったからか、東雲さんがこちらを向く気配がする。
「……なんか多分初めて、ですね。こうやってさ、お互いの好きなものとかこと、訊くの」
あの頃は毎日のように一緒にいて、わざわざ聞こうとも思わなかった。
なんとなくわかった気にもなってたんだと思う。
それに一緒にいられるだけでうれしくて、楽しくて、目の前のことにひたすら夢中で。
こうして再会して、わたしはあの頃の東雲さんも今の東雲さんのことも、ほとんど知らなかったんだとつくづく思う。
「俺の年齢すら知らなかったもんな、お前」
「えー、そっちは知ってたみたいな言い方」
「知ってたわフツーに」
なんか小学校も同じだったっぽい。初耳だ。
当時のわたしはなにを考えて生きていたんだろう。