ハイドアンドシーク
マティーニ
──── 東雲 統理
わたしと東雲さんはいわゆる幼なじみだった。
同じ団地に住んでいた唯一の同世代。
いつ仲良くなったのかも、どちらから声をかけたのかも今となっては曖昧で。
それでも小学校に上がる頃には、すでにわたしの隣には東雲さんがいた。
……訂正。
ちょっと見栄張った。
東雲さんの隣にわたしがいた。いました。
ベッタリなのは、いつもわたしだったし。
遊びに誘うのも、いつもわたしからだったし。
なんならちょっと好きだったし。
もしかしたら向こうはわたしのことなんて、友達とさえ思っていなかったかもしれない。
……そう思えるだけのことが、あったから。