ハイドアンドシーク
カルアミルク
自分がオメガだと東雲さんに告白してから、はや数週間が経った。
打ち明けた日の翌日はちょっとドキドキしてたけど、東雲さんは何事もなかったかのように接してくれて。
最悪の事態も想定していたわたしは、ほっと胸を撫で下ろした。
「それ、飲む必要ある?」
「んぇ……なに?」
そんなとある日。
水で薬を飲もうとしていたわたしは、東雲さんからの声掛けに一旦コップを置いた。
「抑制剤。ヒート中は部屋から出ないんだろ」
「まあ、はい。出れなひですね」
舌の上に乗せたままの錠剤を気にしながら答える。
じわりと苦みが広がっていくのがちょっと気持ち悪い。
「…だったら、飲まなくてもよくね」
「全然よくねーんでふよね」
というかもう限界。
舌の上で溶けるそれに耐えきれなくて、水で錠剤を流し込んだ。