ハイドアンドシーク
「水、冷えたやつと常温あるけど」
「じゃあ冷えた方で……おねがいします」
「ん」
戻ってきた東雲さんがペットボトルを渡そうとしてくれたとき、わたしがほんの一瞬、怯んでしまった。
それが伝わってしまったんだと思う。
「まぶしっ」
「ここ、置いとくから」
わたしと東雲さんの中間にあるサイドライトがつけられて、その真下のテーブルにはすでに水が置かれていた。
ペットボトルの蓋も開けてくれていて、ほとんど力を入れなくても開いた。
喉が渇いていたので、こくこくと一気に3分の1ほど流し込む。
「……ありがとう、おいしい」
いつも飲んでいる市販の水なのに。
東雲さんが持ってきてくれたってだけで2割増しに感じるわたしは、やっぱり少しおかしくなってるのかも。