ハイドアンドシーク
バイオレットフィズ
「鹿嶋お前、オメガだったのか」
「ゑ?」
ヒート明け、約1週間ぶりの学校。
さっそくダウナーな担任教師にオメガであることがバレてしまった。
偶然すれ違った朝の廊下でおそるおそる見上げれば、向こうもまたこちらを見下ろしていて。
目が合うと、その三白眼がさらに細められる。
「も、モッチー先生、それ、どこで……」
「長年教師してるとなんとなくわかるようになってくんだわ。お前はオメガ、違うか?」
「あう、いや、……チガワナイデス」
オメガはその特徴から社会的地位が低く、アルファやベータに蔑まれることが多い。
それ故にオメガだと診断されて自ら命を絶つひとも決して少なくはなくて。
だから、大抵の反応は決まっていた。
最初は珍しいものを見たように驚き……それから、蔑みと憐れみの入り交じった目で見られる。
──はず、なんだけど。
「なんか先生、慣れてる……?」
「そんくらいで驚いてたらこの職は続けられんからな。アルファベータオメガ、全種コンプリート済みよ」
頼もしいんだか、なんだか。