ハイドアンドシーク
「ここ、男子校。野郎しかいない空間で、女に飢えた男はオトコでも妥協するようになんだよ」
「……えっ、そうなの?」
「オメガだって知られたら余計ヤバいだろうな」
妥協とかヤバいとか。
濁してばかりの言葉でもある程度はわかる。
そのときばかりは、流石に同情するような目を向けられた。
「その、なんだ、ケツ暴かれそうになったら呼んでくれや。行けたら行ってやるからよ」
それは絶対来てほしいけど、ケツ暴かれそうになってる状態でどうやって助けを呼べばいいんだろう。
そのあと、欠席の理由づけには食あたりが無難だと教えてもらった。
期間もちょうど1週間くらいだし、部屋に籠もるときの建前も色々あるだろ、と。
「それでもお前はここで過ごすのか?」
ふむふむとアドバイスに耳を傾けていたわたしは、唐突に切り出された言葉にきょとんとする。
言われた言葉の意味がわかっても、どう反応していいのかわからなくて、曖昧に笑った。
そんなの、
「どこに行っても、結局オメガはオメガですから」