ハイドアンドシーク
それとほぼ同じタイミングで、部屋の外からノックと誰かの声がした。
よくは聞こえなかったけど、さっき東雲さんに言い忘れてたことがある、って多分。
だからてっきり部屋を出ていくんだろうなって思ってたのに、遠くで話し声がしたあと、
「鹿嶋。俺が悪かった」
頭のあたりに、布団越しに掌が置かれた。
ベッドがぎしりと軋む。
「も、気にしないでください。……ほら、子供の頃に言われた言葉って、残るっていうじゃないですか」
暗がりのなか、枕に涙が染み込んでいくのがわかる。
一緒にこのマイナスな感情も吸収してほしかった。
「やっぱり髪、切りますね。そしたら万事解決ですし、ウィッグも被らなくていいから、どれだけ触られても問題ないし、東雲さんに心配かけなくて済むし」