ハイドアンドシーク
ついさっき東雲さんが人払いをすませた部屋には、わたしと彼のふたりしかいない。
これ以上シラを切ってもしょうがないので、わたしはそれまで繕っていた声をいつも通りに戻した。
「……東雲さん、高校生だったんですね」
「逆に何だと思ってたんだよ」
当時から落ち着いて大人びていたから、少なくとも一個二個は上だろうと思っていた。
それがまさか、同い年だったなんて。
「……で、女のお前が何でこんなとこいるわけ」
「こんなとこって。東雲さん自分の学校なのに」
「そうだよ。冥皇学園高校」
東雲さんはそこで言葉を一旦止める。
向けられた視線は、わたしを責めるようでもあった。
「ここが男子校だって気付かなかったか?」