ずっとずっと、好きだった
♡
放課後の体育館。
ドリブルの音とバッシュが床を擦る音がぶつかり合う中、女子の黄色い声援が響き渡る。
「きゃー、守谷くーん」
「頑張ってーっ」
女子たちの声援を一身に受ける、一人の男。
人気アイドルにも負けないくらいかっこよくて学年一モテる、この高校のバスケ部のエース・守谷 新。
私、鈴木 彩里の幼なじみだ。
「守谷!」
新はチームメイトからパスを受け取ると、軽くドリブルをしてシュートする。
新の放ったボールは、リングにかすることなくゴールに吸い込まれていった。
ピピーッ!
それと同時に試合終了を告げるホイッスルが鳴り響き、新のチームが僅差で勝利した。
やった……!
「ナイスシュート、新」
「おう」
チームメイトとハイタッチする新の笑顔が、キラキラして眩しい。
ああ、今日も新はかっこいいなぁ。
私が新を真っ直ぐ見つめていると、こちらに気づいた新と目が合ってしまった。
ドキッ!
思わず心臓が跳ねたが、すぐに新に視線を逸らされてしまった。
さっきまでのキラキラした笑顔は何処へやら。
新の顔が、一瞬で曇ってしまう。
ねぇ、私を見てそんな気まずそうな顔しないでよ。
どうして、こんなふうになっちゃったんだろう。
昔は、けっこう仲が良かったのに……。
< 1 / 35 >