ずっとずっと、好きだった
翌日。
文化祭のこの日は、晴天に恵まれた。
私は、いつもは胸まで下ろしたままのストレートの黒髪をふたつに結んでみた。
そして衣装係の子が用意してくれた、リボンのカチューシャをつけて準備完了。
「わぁ、彩里。今日はツインテールなんだ。メイド姿もめっちゃ可愛い」
友達のちぃちゃんが褒めてくれた。
「それを言うなら、ちぃちゃんもだよ」
私と同じく接客係のちぃちゃんは、いつもよりもメイクがバッチリで、普段はストレートの茶髪も今日はふんわりと巻かれている。
私の高校の文化祭は、学外からもお客さんがやって来るため、他校の生徒から老若男女様々なお客さんで朝から賑わっている。
私たちのクラスのカフェも好評だった。
生クリームやフルーツ、チョコレートでデコレーションされたワッフルが可愛いと評判になったこともあるが、一番は執事の新の人気が凄かった。
「おかえりなさいませ、お嬢様。お席にご案内致します」
「ワッフルセットに、お飲み物は紅茶ですね。かしこまりました」
新は執事になりきり、接客をしている。
頑張る新を見て、私も頑張ろうという気持ちになる。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
私は積極的に新規のお客様の注文をとりにいったり、出来上がった料理をテーブルへと運んだ。