ずっとずっと、好きだった
「執事の新くん、かっこよかったよね」
「ねー。やばかった」
廊下の反対方向から、同じ2年生の女子がふたり歩いてくる。
どうやら新の話をしているようで、私の意識も自然とそちらへと向いてしまう。
「わたし、今日で新くんのファンになっちゃったかも」
「えー、ほんと? だけど新くんって噂によると、好きな子いるらしいよ」
……え?
新、好きな子いるの?
初めて知る事実に、胸の鼓動がドキンと跳ねる。
「しかも今日、告白するつもりらしいよ。ほら、後夜祭で公開告白のイベントがあるじゃない? それに新くんが出るみたい」
文化祭のあとの後夜祭では、公開告白というイベントが行われる。
公開告白は、恋愛以外にも誰にも言っていない秘密なども告白したりするイベントで、後夜祭の目玉となっている。
……新、告白するんだ。
私は、廊下の真ん中で立ち止まってしまう。
「彩里ー! 何やってるの? 行くよー」
「あ、うん」
ちぃちゃんに呼ばれて、私は廊下を駆け出した。