カレシの塁くんはあたしの唇を求めてない



塁くんのことを完璧な王子様と思っていたけど、おちゃめなところもあるのだと気付かされた。


「ね、他には!? クラスメイトのこと、影ではなんて呼んでるの?」


なんだか楽しくなってウキウキで質問すると、塁くんはまた顔を赤くした。そして、「兼元しか呼んでない! 逆にごめん。気持ち悪いよな」しんみりした顔を見せる塁くん。



塁くんの心の中は複雑で難しいんだなと感じた。



「大丈夫だよ、塁くん。あたしも影では塁くんのこと王子って呼んでるし一緒だよ。だから、『しーちゃん』でいいよ。でもさすがにあたしは『王子』とは声に出せないけどね」



「恥ずかしいからさー」と、塁くんに対しての王子呼びをフォローしていると塁くんの、私の腕を掴んでいる握力が少しだけ強まった。



「でさ、しーちゃん。オレ………………」


「うん?」


「その、好きなんだ。しーちゃんのことが……どうしようもないくらい……」


「…………え?」


「付き合ってる人がいなければ……いや、いたとしたら別れて、オレと付き合ってほしい」


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