私の彼氏,ちょっぴりクズっぽい,です。
体育館を出てから気付く。

周りに人がいっぱいなこと。

そりゃそうだ,だって次はもう閉会式だから。

どんどんどんどん,1ヶ所に向かうんだ。

どうしよう,と思った。

ただでさえ目立つ響くんが,今はバスケの花形だから。

近づいたら迷惑じゃないかって,理性が働く。

戸惑っていると,響くんとぱっちり目が合った。

息が止まるほど驚いてつい足を止めるけど。

響くんはただ,どや顔のようにも見える優しい顔で,私を目に認めて笑う。

それを見た途端,理性は全部吹き飛んで。

その笑顔の真正面にいたいと感情が騒いだ。

たっと小走りをして,並ぶ。



「1位おめでとうございます,響くん。最後のも,すごかったですね」



何から話そうかと思えば,それしかなくて。

つい先程の光景をきっかけに,私は言葉を向けた。



「アリウープ……あのままダンクとかは流石に出来ないけどね」



それでも充分だって誰より分かってる響くんは,おちゃらけた様に肩をすくめる。

バスケの事はよく分からない私も,響くんに瞳を向けられながら笑った。



「どう? 俺けっこーかっこよかったでしょ」

「……はい」

「とーかちゃんが惚れちゃうくらい?」
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