私の彼氏,ちょっぴりクズっぽい,です。



「えーレアぁ。そんで響くん今度は珍しいタイプ?」

「んー? でぇもぉ。椎名さんって彼氏持ちじゃなかった? あ,でもあれか。とうとう別れたか。最近彼氏くん九条ちゃんとめっちゃ距離近いから。うちらちょー気になってたんだよね」

「あーそれな。の割にギスってないし? 椎名さんが身ぃ引いたのかと思ってたけど,違うんだ,そもそもそんな好きじゃなかったんか」



意外ー!

そう笑い声が響く。

最初は確かにこちらへ話しかけていたはずなのに,いつの間にか喫茶店で向かい合うような2人の世界。

冷たいものが胸に落ちて,黙った私。

それに気付いた周辺の男子が心情を表すように顔をひきつらせていた。

何か,言わなくちゃ。

優菜は,今の話……

聞いてしまった? それとも聞いてない?

嘘でも良いから,1度だけでも庇って欲しい。

今この瞬間だけ,悪意ないクラスメートの言葉を,嘘にして欲しい。
< 12 / 143 >

この作品をシェア

pagetop