私の彼氏,ちょっぴりクズっぽい,です。
揺れる瞳を持ち上げて優菜を見ると,他の友達とお弁当を広げていた優菜は。
何も聞こえなかったらしく,大きな女子の笑い声に不思議そうにしていた。
「佐久間くんとは,別れてない……よ」
結局,別れましょうの一言は告げていない。
それが,条件だから。
笑おうとしたけど,やっぱり無理で。
笑い話にするには,内容はシビアで……ほとんどが,正解で。
「ほらとーかちゃんってば」
ちょっと待ってください響くん。
私今,ひっしで
「あーそーぼってば」
涙,堪えてるんだから。
顔の半分以上をお弁当袋で隠した私の,袋を持った右手を。
響くんは躊躇なく引き上げて。
驚きに見開く私の目を確認しながら,響くんは勢い良く私を教室から拐った。
拐い出して,くれた。