私の彼氏,ちょっぴりクズっぽい,です。
って響が笑う。
すっと差し出された手を,私は迷わず取った。
「手も繋ぎたい」
繋いでるのに,わざわざ響がそう口にする。
一緒に帰ろう。
一緒にいよう。
手を繋ぎたい。
どれも1度どこかしらで断ってばかりだったのに。
キスもはぐも手も。
もう断らなくていい。
すきだから,彼女だから。
「明日も,待ってていい?」
「ふっ,俺の方がはやいよ,とーかちゃん」
それは,待っててくれるってこと?
「響,あのね」
ー好き。
まだ1度も言っていなかったと。
私は夕日に,蝉の声に隠すように。
ただ1人へ向けて,小さく告白した。
『私の彼氏,ちょっぴりクズっぽい,です。』
ーFin