私の彼氏,ちょっぴりクズっぽい,です。

広められたら2度と顔をあげられなくなるような,その昼ドラのような展開を黙っていて貰う条件。

その1,響くんと付き合うこと。

その2,それを誰にも内緒にすること。

その3,浮気の事実は,知らないふりをすること。

あんな風に周りが訝しむくらい,2人の距離は近かったのに。

私はなんて鈍感でおバカなんだろう。

そもそもそんな好きじゃなかったんかって,好きだよ,"2人とも"。

どうして想いを寄せた時に言ってくれなかったの。

どうしてお互いを向いた時に,突き放してくれなかったの。

私がバカみたいに何も知らず呑気に笑えてたのは,2人を信頼してたからだよ。



「可愛い,けど,ムカつく」



薄暗くて,サボりな生徒のせいで少し埃っぽい階段の裏。

昼休みにわざわざこんな陰鬱とした場所に来るのは,きっと私くらい。

そんな場所に引っ張り込んだ響くんは,私の目蓋にキスをした。
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