ヒスイのさがしもの



「帰れる。というか、帰す。……半分は俺が悪いーー ような気が、しないこともないしな」


 どっちが悪いかなんて、もうどうでもよかった。きっと屋上から落ちたときも、神様に食べられそうになったときも、トウマがいなければ死んでいた。そもそもトウマがヘアピンを取ったからーーなんてこと、もう考えても仕方がない。

 とにかく私は、トウマに助けられた。そしてまた、助けられようとしている。だから、今ここで無知な私にできるのはトウマの言葉を信じるだけだ。


「……よろしくね、トウマ」

「まぁ、任せておけ」







 トウマの後をついていくと、見たことのない植物が(しげ)る森へ入ることになった。時折(ときおり)、木々が不自然に揺れたり、変な気配を感じる。きっとそれらも、みんな神様なのだろう。


「ね、ウツギさんも神様だよね?」

「当然」

「人、好きなんだよね?」


 さっきの小さな神様に食べられそうになったのがトラウマだ。念のため、訊いておくことにした。


「ん? 嫌いだが」


< 14 / 53 >

この作品をシェア

pagetop