ヒスイのさがしもの
「帰れる。というか、帰す。……半分は俺が悪いーー ような気が、しないこともないしな」
どっちが悪いかなんて、もうどうでもよかった。きっと屋上から落ちたときも、神様に食べられそうになったときも、トウマがいなければ死んでいた。そもそもトウマがヘアピンを取ったからーーなんてこと、もう考えても仕方がない。
とにかく私は、トウマに助けられた。そしてまた、助けられようとしている。だから、今ここで無知な私にできるのはトウマの言葉を信じるだけだ。
「……よろしくね、トウマ」
「まぁ、任せておけ」
◆
トウマの後をついていくと、見たことのない植物が茂る森へ入ることになった。時折、木々が不自然に揺れたり、変な気配を感じる。きっとそれらも、みんな神様なのだろう。
「ね、ウツギさんも神様だよね?」
「当然」
「人、好きなんだよね?」
さっきの小さな神様に食べられそうになったのがトラウマだ。念のため、訊いておくことにした。
「ん? 嫌いだが」