ヒスイのさがしもの



 まがみのいとしご。聞いたことのない単語の並び。それがトウマの正体を表しているのだろうか。


「あら、きっとあなたが思っているよりも有名よ。珍しいもの。でも、お生憎様(あいにくさま)。わたくし、人間さんにしか興味はないの」


 パセリの神様は、要するにトウマが人間ではないと言っている。そしてトウマも、それを否定することはない。


「それは悪かったな。だがその人間たちは俺が連れてく。正直そっちは知ったこっちゃないがーー」


 トウマは、迷惑そうに紅ちゃんを見て、それから私へ視線を送る。


「こっちは面倒みなきゃならないんでね」

「嫌ならわたくしが面倒をみるわよ」

「もう一度言うが、その人間は俺のだ。それからついでに、人間じゃなくてヒスイって名前があるらしい……が、悪かった。あなたには余計な情報か。何しろもうすぐお別れだもんな」

「ーーええ、言いたいことはわかったわ。わたくしとあなたは敵同士ってことね」


 辺りから伸びてきたツタが、トウマを襲う。途端に、トウマの姿は霧で覆われた。

 そうか。あの大きな犬になれば、ツタを引き裂くのも食いちぎるのも簡単だ。

 ーーそう思ったのも、つかの間。


「……あ?」


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