ヒスイのさがしもの



「……うん」


 はじめは小さい神様はかわいかったし、パセリの神様は優しかった。紅ちゃんは境遇(きょうぐう)も年齢も自分に似てたから、勝手に親近感を覚えた。

 だからみんなのことを悪いようには思えなかった。

 でも結果的に小さい神様は私を食べようとしてたし、パセリの神様は私を閉じ込めようとしてた。

 もしかしたら紅ちゃんだって、私にとって『いい人』ではないかもしれない。ちょっと口が悪いし。

 そうだとしても、紅ちゃんをこのまま放っておきたくはなかった。


「紅ちゃんの本心はわからないけど……助けてって言ってたのは嘘じゃないと思う。それに、まだ何も知らないのに悪人かもなんて思わないよ」

「……ずいぶん他人を贔屓目(ひいきめ)に見るじゃないか。俺に会ったときは、あんなに(おび)えてたくせに」

「だってトウマ、なんか怖かったし……怪しかったし……」

「……へえ?」

「い、今は怖くないよ? むしろ優しいと思ってるし」

「俺が優しい? 面白いことを言う。別に俺はどう思われててもいいけどな。とにかくおまえは知らない奴を信じすぎだし、俺の手を(わずら)わせすぎだ」

「ごめんなさい……」

「つまるところ俺がおまえに言いたいのはーー余計なことをするな、その一言なんだが、わかるか?」

「……でも」

「なんだ」

「紅ちゃんは、助けに行くよ」


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