ヒスイのさがしもの
いとしご
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ウツギさんのところへ戻ると、大樹の根本にうろのようなものができているのが見えた。さっきまではなかったと思うが、きっとウツギさんは大樹を自在に操ることができるのだろう。
「お、お邪魔します」
うろの中に恐る恐る入ってみると、奥にウツギさんが座っていた。
「おかえり。洗うことはできたかな」
「はい、ありがとうございます」
「トウマの方はまだかかりそうだ。どうかな、少し休んでは」
休む……。確かに色々ありすぎて疲れたけれど、トウマだって忙しそうにしているのに自分だけ休むなんて気が引ける。
「い、いえ、大丈夫です!」
「遠慮しなくていい。時間をもて余すだけだよ」
ウツギさんはそう言って手まねきをする。私がとりあえず近づくと、ウツギさんは自分の膝を軽く叩いた。
「ほら、貸そう」
「え……えぇ、いや、そんなっ!」
自分だけ休むどころか、神様の膝で眠るなんて恐れ多いにも程がある。
「ヒスイはなかなか強情だね。流石だ。そう誘いを断られると、神であっても傷つくものだよ」
そんな、人間みたいな。とはいえウツギさんの見た目は人間そのもの。感情だって人間と同じように動くのかもしれない。だとすれば、ウツギさんを悲しませたくはない。
「そ、それじゃ、失礼します……!」