ヒスイのさがしもの
考えもなしにこぼして、慌てて言い訳をする。
「あ、ごめん! 死にかけたとか、きっと大変だったのに、素敵なんて言って……でも、愛し子って響きが、なんか綺麗だなって思って……」
「……おまえだって、そうじゃないのか。母親に愛されてたんだろ」
「……うん、そうだね」
もういないけどね、なんて、自分でも意地が悪いと思う言葉をぽつりと呟く。
「母親がもう、いないとしても。愛が呪いだとしても。おまえが愛されていた、その事実は変わらないだろ」
「……ありがとう、トウマ」
「別に……礼を言われる筋合いはない」
トウマからしたらそうなのかもしれないけれど、私がうれしかったんだからお礼を言うのは当たり前だ。
……トウマ、色々大変そうだな。死にかけたとか、記憶がないとか、神でも人でもないとか、呪い集めとか。
私のことをなにか知らないか、なんて訊ねようとしてた気持ちが薄れてしまった。もし知っていれば自分から話してくれるだろうし。
「元の話に戻るがーーおまえのヘアピンが俺の消しゴムに描いてあったって言ったな?」
「う、うん」
「ヒスイ、おまえ……人間だった頃の俺を、知っていたか?」