ヒスイのさがしもの
「……止めはしないが、おまえは怖い思いをするかもしれない」
「だ、大丈夫だよ、そんなの」
本当は大丈夫だなんて思ってないけれど、そう言うしかない。無理をしてでも、私は行かなきゃいけないと思ったから。
「そうか。だったら一緒に行ってやる」
「いいの?」
てっきり、また文句を言われるかと思った。
「俺だってヘアピンを直したいと思ってるんだ。そのために、神様に会っておくのも悪くない」
……そういえば、ウツギさんは呪いを浄化するために集めていると言っていた。だったらどうして、私がヘアピンを直すのを止めないんだろう。呪いの根源が壊れているなら、そのままの方がいいんじゃないのかな?
その疑問を声に出そうかと思ったとき、大樹の根が軋む音がした。
「おはよう、ふたりとも」
ウツギさんが起きたみたいだ。ウツギさんはトウマの左腕の傷に気がつくと、そこに両手を当てた。トウマの左腕は淡い光に包まれて、傷も服も、元通りに治っていく。
……すごい。本物の手当てって、これのことなんじゃないかな。
「ウツギサン、俺とヒスイはそろそろ行こうと思う」
「ああ、人助けと言っていたね」
「そうなんです、パセリの神様が人間の女の子を捕まえてて……」
「パセリーーといえば、和蘭芹のことだったか。それはまずい」
……まずい?