ヒスイのさがしもの
「……俺が?」
男の子は怪訝そうに顔をしかめる。
「だって元はといえば、あなたがヘアピンを奪ったから……」
「だから、くれるって言ったろ!」
「ヘアピンをあげるなんて一言も言ってない!」
「あ? ……あー、まぁ確かに、言ってない……か? ーーでも、君にかかった呪いを俺にくれるって言っただろ。そのヘアピンが呪いの根源だったんだ」
「このヘアピンは私のお守りなの! 呪いなんてあるわけない!」
そうだ、呪いなんておぞましいものが私のヘアピンにこもっているはずがない。
「いや、お守りだかなんだか知らないが、呪いは確実にこもってた」
「ない!」
「あったって」
「ない! これはお母さんの形見だもん!」
「は、だから?」
「だから? ……って、言われても……」
「形見だからなんなんだ?」
「たっ、ただの形見じゃなくて! ……これは、お母さんのーーえっと……そう、愛情! 愛情がこもってるの!」
「ふっ」
男の子は、さっきまでの怪訝そうな表情を一変させて笑う。