好き勝手されるのは癪なので、貴様らは絶対に許しません ~という令嬢の報復~

第5話

 それからさらに数日後。
 すっかり看板娘の地位を確立した私は、久しぶりの休暇を満喫していた。

 汗水流して勤労に従事する。そういう日々を悪くはないけれど、それはこういう休日があるからこそ輝くというものであって、休む時は思いっきり休み倒すのだ。
 それが、ピープルの正しい過ごし方である。

 てなわけで、今日は1日町中を歩き倒すぞ!


「おいおい、聞いたかよ? 今年も魔導院の連中が大規模な魔物狩りを行うらしいぜ」

「最近腕利きが入ったなんて話も聞くからなぁ。ここらで大体的なアピールってなもんあんじゃねえのか? 予算確保に必死なんだろう」

「ちげえねえ。あそこは金食い虫で有名だからなぁ、ただでさえやっかみが激しいらしいし」

 優雅にメンチカツをむしゃむしゃしながら町中を歩いていた時、そんな話声を耳にした。

 王立魔導院といえば魔法研究の花形。多くの魔導士たちが憧れる職場である。
 とはいえ、だ。国を挙げての研究施設だけあって、とにかくお金がかかる場所でも有名だ。この国がいくら魔法研究に力を入れているとはいえ税金で運営されている以上、成果をあげなければやっかみを受けるのも仕方ない。

 昨今においては大きな研究成果を出していないとの噂も聞く。風当たりが厳しくなっているのはピープルの間でも有名な話である。
 魔物狩りは毎年の事だけど、アピール出来る貴重な機会ということだ。こうでもしないとメンツが立たないってことだろうか。

 まあ、私には何の関係もないけれど。

「ふう美味しかった。それじゃ、またウインドウショッピングでも再開しようっと」

「ちょっと待った、そこの少女よ」

「はい?」

 唐突に話しかけられた。振り向いた先にいたのは、覆面を被った謎の男。

「ちょっと何ですかあなた!」

「そう警戒をすることはない。まずは落ち着くのだ」

 いや、落ち着けって言われましてもねぇ
 そこでふと思った、この声はどこかで聞いた方がある。
 そう、つい最近まで聞いたことが、……もしかして!
< 14 / 27 >

この作品をシェア

pagetop