好き勝手されるのは癪なので、貴様らは絶対に許しません ~という令嬢の報復~
「もう、怒ったぞ!! こんな茶番事ブっ飛ばしてやる!!!」

 両手を胸の前に掲げ合わせ、その中心意識を集中させる。

 ――深淵より吹き出せ、我が魔力の胎動。

「チリ一つ残さず消えてしまえ!!」

 ――プロトニックミサイルッ!!

 私の掌より放たれた重陽子の光弾。
 追尾性のそれが人工魔物へと吸い込まれるように向かっていき、着弾と同時に大きな爆発を引き起こした。
 爆風を受けないように咄嵯に両腕を顔の前で交差させ、顔を背ける。
 暫く経ってからそろりと目を開けると、そこには何物の姿は無く。
 人工魔物は文字通りに跡形もなく消滅していた。

 やったぜ!!!

「あ、あわわわわ!」

「ああぅ! 我々の研究成果があぁっ!」

「ああ、あああ……」

「ふええ……もうおうち帰りたいよおお」

 目の前では慌てふためく職員達。

「ざまぁ見晒せ!」
 
 おっと、おヤクザさん達のお言葉が移ってしまったかしら? 
 いけませんわ、元お嬢様がおはしたない事を。おほほほほ。



 その後、自分の研究成果とやらを潰した私は主催者のお偉い人を締め上げて、金一封をもぎ取ると共に今回の件について洗いざらい吐かせた。

 昨今、目覚ましい成果を挙げられていなかった魔導院は国から予算の引き下げについて打診されていたらしい。
 そこで白羽の矢が立ったのが、私がボコったあの研究途中の新型人工魔物だったというわけだ。
 国防に人工魔物を担当させて貰う為のデモンストレーションに私達は利用された。
 腕の良い傭兵や戦士、魔導士でも敵わない魔物を作り出せば、国も予算削減を考え直してくれるだろうと踏んでの事だった。

「よくもまあ、そんな事を。本ッ当にどうしようもない連中ね!」

 お偉い人を簀巻きにして、事情を聞いて怒り狂う参加者達の前に放り出すと、駄菓子を貪りながら街へと戻った。

「もう、くったくた。アッホらしいわぁ」
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