好き勝手されるのは癪なので、貴様らは絶対に許しません ~という令嬢の報復~
「ボルディ……。お父様が男の子が生まれたと勘違いして名付けてしまった可愛い我が妹。貴女は貴族の正当な血統。混じりの私と同じ場所に立ったって良いことは無いわ」

「お姉様、何故そのような物言いをなさるのです! 半分の血など……ッ! 私は、不躾でぶっきらぼうで喧嘩を仕掛けてきた男の子をのし倒すような、そんなお姉様を嫌いになどなれません!! それでも私を置いていかれるのですか!!?」

「……まあ、悪気はないんでしょうけどもねぇ」

 今更ですが私の家系、このランブレッタ家の事情についてご説明いたします。
 私の母は、本当の親ではありません。

 全ては十九年ほど前のお話。
 当時、婚約したばかりで当然子供はいなかった父には、人目を盗んで町で遊んでいました。
 その時に出会ったのが私の本当の母親。
 さすがに身分を隠していたとはいえ、女遊びに勤しんでいた父にとっては町娘の一人や二人。
 そんな中、出会った母ですが、これが中々の美人で気立ての良い娘だったようで、父は一目で気に入ってしまったそうです。
 つまるところ、そんな二人の間に生まれてしまったのは私なのです。
 当然こんなことがバレてしまったら大変なこと。父は必至で隠しましたが、うっかり婚約者である現夫人に見つかってしまいました。
 
 父は責任を取り母を妾として迎え、当時お腹の中にいた私とともに別宅へと住まわせたのです。

 物心つく前から、貴族としての教育を受けた私に乗ってその生活は別段苦ではなかったものの、母にとっては幸せなことだったのでしょうか? 今となってはわかりませんが。

 特に不満のない生活でしたが、ある日転機が訪れました。
 母が病に倒れ、看病の甲斐なく亡くなってしまったのです。

 その時から私は、父と夫人の正式な娘となりました。
 父と母はともかく、果たして母と夫人は仲が良かったのか? 二人がそろっているところを見たことがないのでそれは分かりません。ですので、当初は受け入れられないのではないかと思いました。
 
 でも、ま。それなりの日々は送れたんだけどね。
 お母様だってお金持ちの家に住めたわけだし、病気が憎いもない。
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