王子がお家に住み着いた!

最終話.婚約したのでお家に帰った···訳ではない?

「ん、うぅん····」

眩しい光に思わず身じろぐと、主に腰回り···というレベルでないくらい全身がダルくて驚く。

「あ、え···なんで····何をしてこんなに····」

微睡みながら覚醒しない頭で必死に考えーー···
バチッと目を開いた。

“わ、私昨日、る、ルイス殿下と···っ!?”

夢かと思うような時間を過ごした事を思い出し、結局2回じゃ収まらなかった殿下は何度も何度も私を····

「いつの間にか眠ってしまったのね···」
「さすがに驚いちゃったから、次の夜の為に何回目のどの瞬間まで覚えていたかちゃんとエメの言葉で教えてね?」
「で、殿下っ!?!?」

一人ぼんやりと微睡んでいたつもりだったのに突然真横から声をかけられ慌てて起き上がる。
気付けば私はとても手触りのいい夜着に着替えていて···

「殿下じゃないでしょ?もう忘れちゃった?」
「あっ、その···っ」

なんだかんだで昨晩は与えられる刺激でいっぱいいっぱいになってしまって判断能力が落ちていた。
それでも想いが通じ合ったのは間違いないー···のだが、正式な婚約も結んでないのに流石に愛称呼び捨ては···と躊躇い思わず口をつぐむ。

困っている私に気付いたのか、それでも少し哀しそうに瞳を潤ませうつむき気味になってしまった殿下を見て、一瞬で決意が揺らいだ私は。

「る、ルイス!ルイスルイス!」

あっさり愛称呼び捨てで呼ぶことを選んでしまった。
ーーーこれが惚れた弱みというやつなのだろうか。

名前を呼ぶといつものにっこり笑顔が返ってきて、相変わらずの策略にまんまと嵌まったと知り頭を抱える。

“チョロすぎる私···!!”

しかしそんなことをいつまでもうじうじ考えても仕方ない、と重い体に鞭を打ち上半身を起こした時だった。


「ーーーーえ、ここ、どこなの····?」

仮面舞踏会の休憩室はどちらかと言えばシンプルで、過度な装飾などはされていなかった。
しかし今いる部屋は、シンプルだが洗練された装飾品がバランス良く飾られたとてもいい部屋で······

「もちろん私の部屋だよ」
「ルイス、部屋なんてあったの!?」

思わずそんなことを叫んでしまった。
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