王子がお家に住み着いた!
「おかしい、おかしいわ····」
「何がおかしいの、エメ?」
「全てです殿下!!」
「殿下だなんて堅苦しいな、ルイスと呼び捨ててくれと何度も言っているだろう?」
「で、殿下を愛称で呼び捨てだなんて出来ませんわ!!」
「どうして?だって私は君の“お人形”なのに?」
「~~~ッッ!」
自室のソファに突っ伏して頭を抱える。
あの5歳の日から王子が“私のお人形”として私の部屋に住み着いているという、この意味不明な現状に嘆く毎日だ。
“く、黒歴史だわ······”
公女と言えば、国の情勢や王族の血筋などによっては一王子よりも権力を持つこともある。
ーーーが、ルイーズ殿下は陛下と正室である皇后様の第一子で、血筋も権力ももちろん私より全然上の存在だ。
なのに、いや、だからこそ、「構わない」と言った殿下の“言葉が通って”私のお人形として14年経った今もここにいるのかもしれないが。
「殿下も今年で成人です、私もとっくに成人しておりますし····そろそろ····」
“城に帰ってくれ····!”
「殿下じゃなくて、ルイスでしょ?」
「いや、あの、その話は今はしてな···」
「ル、イ、ス、でしょ?」
「~~~、ルイス···殿下····」
「殿下もいらないんだけど···まぁ、合格と言うことで!じゃ、そろそろ寝よっか?」
「う、うぅぅ····」
ベッドに腰掛けていた殿下はさっと上掛けをめくり私をベッドに誘う。
お人形として我が家に来たその日からずっとそうやって添い寝をしてきた。
もう一度改めて言おう。
····おかしいだろ!!!!
百歩譲って欲しいとわがままを言った事はいいとしよう。
何しろ当時5歳だ。
人形ではなく人間に言ったことがそもそも間違っているが、まだ何もわからない5歳だったのだ。
百歩譲ってオッケーを出したこともいいとしよう。
何しろ彼も当時6歳だ。
よくわからず一緒に遊びたいな、みたいなノリでオッケーしてしまったのだろう。
だとしても、止めろよ大人!!!
そしてもうすぐ成人なのにしれっと令嬢の部屋に住み着いてるとかおかしいでしょう、せめて別の部屋を用意してよ!!!
「ルイス殿下ももうすぐ成人ですし···」
「つまりまだ未成年、子供ということだな。ならば許されるだろう」
「く·····ッ!」
今日こそ添い寝から脱出しようと殿下の年齢を主張してみるが華麗な屁理屈でねじ伏せられる。
ちなみにこの国の成人は男子20歳、女子18歳。
現在殿下もうすぐ20歳、私19歳。
“ぶっちゃけどっちもいい大人なのに···っ”
しかし、“子供”を理由にそう主張するならばこちらだって、と最近ずっと考えていた返し文句を言ってみる。
「わ、私はもう成人しておりますわ!大人です!!」
だから添い寝はしません、との思いを込めたその一言は····
「まさかエメってば、······誘ってるの?」
「誘ってないですッッ!!!」
本日も玉砕だ。
にこやかに「そうなの?残念、なら添い寝だけだね」なんて言われ、このまま添い寝を選択するのが一番被害が少ないと思い直す。
おずおずと寝転ぶと、いつもと同じく殿下に腕枕され髪を鋤かれる。
それが少しくすぐったくてーー····
「おやすみ、エメラルド」
「おやすみなさい、ルイス殿下」
なんだかんだで5歳の時から側で寝ていた彼の香りに包まれ、そのまま眠りについた。
「何がおかしいの、エメ?」
「全てです殿下!!」
「殿下だなんて堅苦しいな、ルイスと呼び捨ててくれと何度も言っているだろう?」
「で、殿下を愛称で呼び捨てだなんて出来ませんわ!!」
「どうして?だって私は君の“お人形”なのに?」
「~~~ッッ!」
自室のソファに突っ伏して頭を抱える。
あの5歳の日から王子が“私のお人形”として私の部屋に住み着いているという、この意味不明な現状に嘆く毎日だ。
“く、黒歴史だわ······”
公女と言えば、国の情勢や王族の血筋などによっては一王子よりも権力を持つこともある。
ーーーが、ルイーズ殿下は陛下と正室である皇后様の第一子で、血筋も権力ももちろん私より全然上の存在だ。
なのに、いや、だからこそ、「構わない」と言った殿下の“言葉が通って”私のお人形として14年経った今もここにいるのかもしれないが。
「殿下も今年で成人です、私もとっくに成人しておりますし····そろそろ····」
“城に帰ってくれ····!”
「殿下じゃなくて、ルイスでしょ?」
「いや、あの、その話は今はしてな···」
「ル、イ、ス、でしょ?」
「~~~、ルイス···殿下····」
「殿下もいらないんだけど···まぁ、合格と言うことで!じゃ、そろそろ寝よっか?」
「う、うぅぅ····」
ベッドに腰掛けていた殿下はさっと上掛けをめくり私をベッドに誘う。
お人形として我が家に来たその日からずっとそうやって添い寝をしてきた。
もう一度改めて言おう。
····おかしいだろ!!!!
百歩譲って欲しいとわがままを言った事はいいとしよう。
何しろ当時5歳だ。
人形ではなく人間に言ったことがそもそも間違っているが、まだ何もわからない5歳だったのだ。
百歩譲ってオッケーを出したこともいいとしよう。
何しろ彼も当時6歳だ。
よくわからず一緒に遊びたいな、みたいなノリでオッケーしてしまったのだろう。
だとしても、止めろよ大人!!!
そしてもうすぐ成人なのにしれっと令嬢の部屋に住み着いてるとかおかしいでしょう、せめて別の部屋を用意してよ!!!
「ルイス殿下ももうすぐ成人ですし···」
「つまりまだ未成年、子供ということだな。ならば許されるだろう」
「く·····ッ!」
今日こそ添い寝から脱出しようと殿下の年齢を主張してみるが華麗な屁理屈でねじ伏せられる。
ちなみにこの国の成人は男子20歳、女子18歳。
現在殿下もうすぐ20歳、私19歳。
“ぶっちゃけどっちもいい大人なのに···っ”
しかし、“子供”を理由にそう主張するならばこちらだって、と最近ずっと考えていた返し文句を言ってみる。
「わ、私はもう成人しておりますわ!大人です!!」
だから添い寝はしません、との思いを込めたその一言は····
「まさかエメってば、······誘ってるの?」
「誘ってないですッッ!!!」
本日も玉砕だ。
にこやかに「そうなの?残念、なら添い寝だけだね」なんて言われ、このまま添い寝を選択するのが一番被害が少ないと思い直す。
おずおずと寝転ぶと、いつもと同じく殿下に腕枕され髪を鋤かれる。
それが少しくすぐったくてーー····
「おやすみ、エメラルド」
「おやすみなさい、ルイス殿下」
なんだかんだで5歳の時から側で寝ていた彼の香りに包まれ、そのまま眠りについた。