月のない夜に永遠の愛を誓い
そう言って渡されたのは、紅い宝石がはめられたシンプルな指輪だった。
あたしは意味がわからず、首を傾げた。
「え、婚約指輪?」
あたしの問いにまたゼルは溜め息を漏らした。
……こいつ、さっきから溜め息ばっかり……。
そんなこと思ってると、ゼルはまた心を読んだかのように説明した。
「お前なぁ、そんな頭の悪いこと思ってたらこっちが疲れる。ちなみにその指輪は人間だということがバレないための、いわばカモフラージュだ。俺はもう戻る。あぁ、あと、お前の血、なかなかうまかった。」
そう言い残すと、ゼルは部屋を出ていった。
……って、あんたはエスパーか!!
心の中で突っ込みをいれて、あたしは首筋にそっと手をあてた。
確かにあるふたつの穴。
嘘…本当に吸われてるし……。
あたしはショックで唖然とした。