月のない夜に永遠の愛を誓い
ゼルは空いてたイスに座ると手前の料理に手をつけた。
あたし達は無言で食事をした。
沈黙のなか食事をしていて先に沈黙をやぶったのはゼルのほうだった。
「………悪かったな」
「…………は?」
いきなり謝られたあたしは何を言ったらいいかわからなかった。
あたしの表情を見かねて、ゼルは謝った意味を付け足した。
「いや、いきなり連れさったり、部屋に閉じこめたりして。 でも、わかってくれ。その指輪は鋭い奴はすぐバレる。 だからこうするしかないんだ」
申し訳なさそうに話すゼルに、あたしは少し悲しくなった。
なによ、あたしは身代わりなのに。それじゃあまるであたしの事大事にしてるみたいじゃない。
もちろんそんなこと口に出さないので、あたしはかわりにこう言った。
「じゃあ、たまにでいいからあたしの話相手になってね」
「あぁ、わかった。ついでに食事も一緒に食べてやる」
あたしは内心ちょっとうれしくなりながら食事を続けた。
今思ったけど、ゼルって笑うんだなぁって思った。
さっきも笑ってたし。
あたし達は食事を続けた。
窓の外でコウモリが見ているのを知らずに。