月のない夜に永遠の愛を誓い
ある日、ゼルがあたしを連れて外へ行くらしく、あたしは初めて出る外の世界に胸を踊らせた。
外は寒いらしく、あたしはクローゼットの中にあるカーディガンを羽織って部屋の前で待ってたゼルと一緒に外へ出た。
ヴァンパイアの世界を初めて見た。
真っ黒な闇に覆われた沈黙の世界。
まるで、ふたりだけの世界のようだった。
初めて窓の外の世界から抜け出した気がした。
ちょっとだけ庭を歩いてお城に戻るというだけだったが、あたしにとってはとても楽しかった。
お城へ戻ると、誰か見知らぬ人が広間でメイドを口説いてた。
男はゼルに気付くと、メイドに“じゃあまた” なんて言ってあたし達のところへ来た。
男はゼルと親しげに話す。
「よぉ、ゼル! 今帰ったところだけどよ、女の子とかなかなかだったぜ」
ゼルと話してる最中、視線があたしのほうに向く。
金髪のちょっと短めの髪にエメラルドグリーンの瞳があたしを見ている。
うっ……どうしてヴァンパイアはみんな美形なの!?
あたしは自分は平凡な顔つきしていることに恥ずかしく思った。