月のない夜に永遠の愛を誓い
「ゼル様、あなたにはシルヴィーヌ様がいるにも関わらず、このガキはゼル様の恥になると思いまして」
あたしはその光景が見えないが、この男――フェンシスと呼ばれた男はこの場にあわない声で穏やかに告げた。
あたしは本当にさらわれると思い、フェンシスの背中をこれでもかと思うほど力いっぱい叩いたつもりだが、びくともしなかった。
男はあざ笑うかのような口調で話した。
「それにしてもこのガキ、わたしは強めの術をかけたはずなのにこんなに異常な速さで目覚めるなんてまさかアリシア様でもないでしょうね」
――……え?アリシア??
あたしはフェンシスの言葉に目を疑った。