地に白が注がれた。
プロローグ
去年の12月31日。

例年より少し遅い、初雪が降った。

まるで、雪と同時に空から舞い降りてきた様な、真っ白な女の子。

 彼女を一目見た時、あたしは彼女に吸い込まれていくような、惹き付けられるような、


心の全てを奪われた。

 
「あの────」

 なぜだろう。
白 としか表現出来ないような、雪という言葉がぴったりな彼女。そのはずだった。
ごめんね。あなたの白を奪ったのは、間違いなくあたしだった。

 でも、それでも、
そんなあなたも、綺麗だと思ってしまった。



 今日もあの日と同じ。空は青くて、雲は白く、海は広い。日は暖かくて、風は心地良い。唯一あの日と違う所。あなたには分かるかな。

 今日も、あたしの前から居なくなってしまったあなたに問いかける。
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