いらっしゃいませ幽霊さん
 ここにいたい。あと1ヶ月…いや数日だけでもいいから。でもずっとここに泊めてもらうのも迷惑だし…。あ、そうだ。

「ねえ、私…ここで働いちゃダメ?」
 
初季は少しも驚いた様子を見せずに、ふっ…と笑って私の顔を見た。

「そう言うと思った」
 
 受け入れてくれたんだ。そう感じて、すごく嬉しかったし、安心した。でも、ここで働くとなれば、この料理屋のことをしっかりと知っておかねばならない。

「初季、ここって普通の料理屋?」
「いや、ここに来る客は…」

初季は少し戸惑ったような顔をしたけれど、すぐに真面目な顔になった。

「もう死んでる」
< 20 / 33 >

この作品をシェア

pagetop